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ポルファボー!ふなよのエコマッタリチリの旅 10日目 Gillmore編

ポルファボー!ふなよのエコマッタリチリの旅 10日目 Gillmore編(タルカ 晴)

カリナのビクトルさんにご飯をご馳走になった後、その日はタルカまでギルモアワイナリーのダニエラさんに迎えに来てもらいまして、この晩はギルモアに泊めてもらうことになっておりました。

もともとスケジュールがパツパツのキチキチだった今回のワイナリー巡りの旅。おおよそ私の行き先は店長が選んだ私の見るべきワイナリー、というで決められていたのですが、このギルモアだけは、私が行きたい!と店長に言い張った唯一のワイナリーでして。

というのもこちら、ワイナリーだけじゃなくてゴージャスな?ホテルがついた滞在型ワイナリーで、HPで見ましたら、ホテルの感じがすごく良くて、アルパカ?みたい”いかにも”な動物がいたりと、もう一目惚れといいますか。

ワインもいいけど1日くらいゴージャスなホテルもね!ということで、半ば無理やり予定にねじ込んでもらったワイナリーホテルだったのです。
セレブチックなホテルでマウレまでの疲れをゆっくり癒す休日だったはず、、、、なのですが、、、、

ギルモアのホテル(タボンコ)のhpのイメージ。これに騙された・・・



そんなわけで、ギルモアのワインにつきましては、チリに入るまで全く予備知識は無く、(店長は色々知っていたのですが、、店長の方針で一切私に予備知識を与えないのです。そして、そのおかげでフナヨ さらにかなり頓珍漢発言を繰り返すのですが。。。。。)


ともかく、この旅ではフナヨの休憩地点的な宿泊となる予定のギルモアワイナリーについて、初めて噂を聞いたのは、マウレのエラスモでの晩餐の時のこと。

エラスモの食堂に見慣れないトカゲの柄のボトルがありましたので

これはどこのワインですか?と聞いたところ、ドクトルガブリエルが

ギルモアだよ。フナヨはこの後ギルモアは行くんだよね?ギルモアに行ったら、とても勉強になると思うよ。特にもしメルローの05があったら必ず飲ませてもらうんだよ。あれはすごいメルローだ。チリで恐らく最も素晴らしいメルローだと僕は思う。ああいうメルロはチリで他では作れない。あれには僕はとてもびっくりしたんだ。。。。。」

と、尊敬するドクトルが、ギルモアを手放しで褒めちぎっているではありませんか。これはただ事ではありません。

セレブホテルのことしか頭になく、ギルモアのワインのことは全く頭に無かった(<ヒドイ)私はかなりびっくりしまして。

「アンドレス・サンチェスは難しい男だけど、ワインについては一流の男だから、何でもわからないことがあったら聞くといいよ。ドンコータ(店長のこと)からも聞いていると思うけど」

「ええっ!アンドレス・サンチェスって誰ですか?なにが難しいんですか!????」

正直店長はギルモアのワインメーカー、アンドレス・サンチェスと知り合いだ、とは言ってましたけど、アンドレス・サンチェスがどんな人かは全く聞いていなかったので、かなり嫌な予感がしました。(ドクトルは私がアンドレス・サンチェスが何者かを知らないという、そっちのほうにびっくりしたようなのですが)
ともかく店長が私に予備知識を一切与えない方針だと言うと、なるほど、なるほどそれは面白いという風な面持ちで、行けば分かる、と、これまたはっきり教えてくれませんでした。

それでも、とにかくギルモアエラスモ同様の人里離れた場所にあること、アンドレス・サンチェスはチリワイン界では知る人ぞ知る人物だということ。
そして彼についてはみんな口を開きたがらないこと。。。。そしてどうも性格が?難しいこと、が何となく皆の話口調で理解できました。

そして鈍感なフナヨにも、またしてもセレブなホリデイが遠ざかっていく嫌な予感がいたしました。


そんなわけで、ダニエラと初めて会った時には、ちょっと拍子抜けしました。

非常におおらかで、同世代の女性として瞬間的に打ち解けられるようなフレンドリーな女性。
会って数分後には子供のことやワイナリーのこと、アンドレスとの出会いのことなどについて色々と聞くことができました。

その話の中からダニエラと結婚する前はアンドレスはカリナのアドバイザーだったこと。のみならず、ケンダルジャクソンのインターナショナルなスーパーバイザーとして、トスカーナやアルゼンチンなど、世界中を飛び回っていたフライングワインメーカーだったということが分かりました。

アンドレスはダニエラと私と同じ年くらいですから、おそらくまだ30代後半です。チリでは若いワインメーカーは多いですが、それでもその若さでケンダルジャクソンのインターナショナルを任されるというのは、かなりのエリートです。

そんな若くして将来を約束され、ワインプロデューサーとしてのエリート街道まっしぐら、何不自由ない生活をしていた彼が、ダニエラと結婚し、彼女の実家のマウレのど田舎の、割とどこにでもあるワイナリーを継いで、全ての地位を投げ出して、まさに私財を投げ打ってプレミアムワインを作り始めた、ということが、周りの人からは奇人変人だと思われているようです。

アンドレスの方向を180度転換させたダニエラとの運命の出会いは、カリナがギルモアの隣のワイナリーの施設と畑を買収し、そこで一部ワインを作っていた時代があったのですが(今は使っていない)、その時そこ現場指揮に当たっていたのがアンドレスで、その隣のワイナリーの娘であるダニエラに出会い、恋に落ちたのだそうです。人の人生はどこで変わるか本当に分かりません。




ホテルに到着すると、HPで見たのより、かなり田舎風な感じでした。
まだところどころ作っている途中なのかHPのセレブなイメージからすると若干(かなり?)想像とは違ったのですが、それでもかなりゆったりとしたホテルでした。
周りには孔雀や鶏の入っているような巨大なケージと、葡萄畑がありまして、小さな動物園みたいなかんじ?

オフシーズンなのか、私以外のお客さんがいなかったのですが、いつもは学校の遠足や、海外からのワインツアーで賑わっているのだそうです。

それより、驚いたのは、ホテルはいくつかの建物に分かれているのですが、その一つ一つに巨大なワインのボトルがはまっていて、それにカベルネフラン、とかカベルネソービニョンとか書かれていまして、セレブというよりはかなり、一風変わった独特の存在感をかもし出していました。
あまりにびっくりしたので、そのボトルについてダニエラに聞いてみたところ
ダニエラのお父さんのデザインということがわかりました。
(このお父さんという方が実はまた只者ではない人なのですが、それも後ほど明らかになります。)

巨大なボトルが見えますか。中はキッチンになってたような気がする。。。


そして夜、素晴らしいディナーと、がっちりテイスティングが用意されていましそしてそこでアンドレス・サンチェスと、ダニエラのお父さんのドン・フランシスコに紹介されました。


ギルモアでは2ラインのワインをリリースしていました。 1つは Hacedor de mundosというレセルバのレンジ。もう一つはエラスモで見た、トカゲのエチケットのCOBREというプレミアムです。

まずアセドールデムンドス(大地をつくり人)の非常に個性的なエチケットを始めてみたとき、わたしはあ!っと思いました。

このホテルのレストランの入り口にあった面白い人型のオブジェ、それがそのままエチケットになっていたからです。



玄関に飾られたアセドールはダニエラ父手作り。ワイナリーの土、葡萄の木、ワイン作りで使った道具で捨てられていたものを使って木火土金水をあらわしているのだそう。


最初にドン・フランシスコが趣味の木工で”アセドール”を作ったのですが、家族のみんながそれを気に入ったので、2003年から作り始めたワインのエチケットをアセドールにしたんだそうです。
アセドールは基本的に農園で使っていらなくなったもの、農園で取れたものだけで作られていて、なんだか非常に温かみのあるオブジェです。

そのアセドールをモチーフに、ダニエラの妹(デザイナー)がデザインしたエチケットを冠するアセドールは、まさにファミリーの力が集結したワインなのでした。

さて前置きが長くなりましたが、まずアセドールについてですが、まずカベルネ・フランという品種があるのにびっくりしました。

そして、一口飲んで、なにこれ!!!???

まずドクトル曰くチリ最高のメルローと称されるアセドール05メルローは、プラムやジャム、ホワイトペッパーの香りが豊かな密度を感じるメルローで、最初乾いたタンニンを感じたのですが、少し時間をかけて開いてくると豊かな酸味とフルーツの豊かな香りがむんむんと開いてきて、シルクのような舌触りでした。(ちなみにその日の私のテイスティングノートには「グラスに鼻を突っ込んで眠りたい」と書いてあります。)

その次に試飲した05カベルネフランは、また輪をかけてびっくりしました。 カベルネフランとイメージと言えば、私の少ない試飲経験の中でも”外れる可能性が高い”品種の一つでした。ワイン学校の時も、カベルネフランのグラスだけは全くすすまないということもあったほど。とにかく暗い、シケテルというイメージのカベルネフランのイメージを一掃したこのカベルネフランは、夕張メロンや白い花のような複雑で可憐な香りと、細かいエレガントでこなれたタンニンが文句なしに、本当に美味しい、お持ち帰りしたいワインでした。

そして05カベルネ・ソービニョン。 とにかく干したプルーンのように乾燥を感じる凝縮味と、ポプラのような木の皮のような甘い香り。豊かなタンニンと酸、まだまだ固いと思うけれども、これが5年たったらどうなるか、と期待してしまう高くて固いバランス。そしてなにより”上品”なカベルネ。 文句なしに欲しい!!!と思うワインでした。

そして最後にCOBREの03ですが、これはカベルネ、メルロ、カリニャン、カベルネフランのアッサンブラージュだったのですが、なんというか、このワインは見えないワインでした。

アセドールのように一つ一つのキャラクターが出ているのではなく、全てのキャラクターをかすかに感じるものの、タンニン、酸、フルーツの凝縮された力全てがものすごく濃密に均衡しているため、真っ暗に見えるというのでしょうか。 今の私には力及ばず、全く全貌の見えないワインでした。一言でいうと沈黙されていらっしゃるようでした。

こうしてアセドール、そしてコブレ、この2つのワインに出合ってしまったことに、エラスモとは違った衝撃を受けたフナヨでした。

ところで試飲の途中、私達は色々な話をしました。流通の話や、葡萄の栽培方法の話、エノツーリズムの話、そしてワインの熟成の話。

その中でアンドレスは、アセドールは(もちろんCOBREも)熟成を考えて作られているワインだ、と言いました。単純なワインには興味がないのだ、とも。

今回の旅で、チリワインの熟成というものは、私にとって一つのテーマでした。 チリワインは熟成するとどうなるのか?本当にチリワインは熟成のポテンシャルはあるのか、ないのか?
エラスモでは確かに熟成を感じられたけれども、でも熟成しないというワイナリーも多いし。
ビンテージワインを探していて、サンチャゴのワインショップで聞くと、チリワインでビンテージはないと、ケンモホロロに相手にされなかったことも。。。

その私の話を聞くと、アンドレスは

「では明日その答えを見せよう」

と言ったのでした。

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